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2年で売上30億円達成、そして2年に及ぶ経営権争いの罠

小さな倉庫から始まり、わずか2年で約30億円(300億ウォン)の売上を達成した環境配慮型素材スタートアップ「Maimhaim」。しかし、その急成長の裏には2年に及ぶ深刻な経営権争いが潜んでいた。起業家はスケールアップの前に、強固な株主間協定とベスティング条項を整備しなければならない。

ニュースStrategy & Operations
公開日2026.03.06
更新日2026.03.06

小さな倉庫から始まり、わずか2年で約30億円(300億ウォン)の売上を達成した環境配慮型素材スタートアップ「Maimhaim」。しかし、その急成長の裏には2年に及ぶ深刻な経営権争いが潜んでいた。起業家はスケールアップの前に、強固な株主間協定とベスティング条項を整備しなければならない。

倉庫から工場へ:環境配慮型素材市場の爆発力

24歳で米国での生活を捨て韓国に帰国したチャン・テス代表は、昌原(チャンウォン)の小さな倉庫にベッドを置き、環境配慮型塗料の中核原料を製造するスタートアップ「Maimhaim」を立ち上げた。そしてわずか2年で、売上高300億ウォン(約30億円)を叩き出した。この急成長の背景には、明確な市場の追い風がある。

世界の環境配慮型塗料・コーティング市場は、VOC(揮発性有機化合物)排出規制の強化により、2025年の1,700億ドルから2030年には2,200億ドルへと年平均5.2%で成長すると予測されている。特に韓国市場では、公共事業における環境配慮型素材の30%使用義務化などの政策により、年平均8.1%の急成長を記録している。さらに、従来の石油化学製品の粗利益率が25%程度であるのに対し、バイオベースの原料は40〜50%という高い利益率を誇る。Maimhaimは、地方産業団地の安価なインフラを活用し、この高利益・高成長市場の隙間を見事に突いたのである。

急成長の隠れた罠:共同創業者との対立

しかし、会社が急拡大する過程で、パートナーとの溝が深まり、深刻な経営権争いへと発展した。結果として、Maimhaimは2年という貴重な時間を訴訟に費やすことになった。

これは決して珍しいケースではない。データによると、韓国のスタートアップの60%が創業3年以内に共同創業者の離脱や紛争を経験している。特に化学・ディープテック分野では、70%の企業がパートナーシップの対立を最大のリスクとして挙げている。売上が急増し、企業価値が跳ね上がると、初期の口約束や曖昧な役割分担が致命的な弱点となる。ガバナンスの構築が成長スピードに追いつかなければ、創業者は自ら築き上げた会社から追放される危機に直面するのだ。

スケールアップのための戦略的参入障壁

この高利益市場で生き残り、内部対立のリスクを最小限に抑えるためには、強固な戦略的参入障壁(モート)が必要である。植物由来の樹脂やナノセルロース添加剤などのバイオ原料は、高い研究開発能力を必要とする。スケールアップの前に、特許を出願し、コア技術を法的に保護することが不可欠だ。また、KCCやLG化学のような大手企業との安定したB2B契約を結び、単一のパートナーや顧客への依存度を下げることで、経営の安定性を高める必要がある。

起業家のためのアクションアイテム

Maimhaimの事例は、急成長を目指す起業家に対して、事前のリスク管理の重要性を強く警告している。以下の3つのアクションを直ちに実行すべきである。

  1. ベスティング(Vesting)条項の導入:共同創業者間で株式を分配する際は、必ず4年間のベスティング(権利確定)と1年間のクリフ(待機期間)を設けること。これにより、途中で離脱したパートナーが不当に多くの株式を持ち去ることを防ぐ。
  2. 知財(IP)の法人帰属の徹底:特許や配合データ、営業秘密などのすべての知的財産が、個人ではなく法人に帰属することを契約書で明確にする。
  3. 意思決定プロセスの明確化:意見の対立(デッドロック)が発生した際の解決策を株主間協定で事前に定義し、CEOが迅速な意思決定を行えるよう過半数の議決権を確保する構造を作る。