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全固体電池ターンキー時代の幕開け:起業家の戦略

Hana TechnologyがInterBattery 2026で全固体電池(SSB)の全工程ターンキーソリューションを公開します。2035年に317億ドルへと急成長する市場において、製造ハードルが劇的に下がることを意味します。ディープテック起業家は、ニッチな素材開発やAI製造へのピボットが求められます。

ニュースDeep Tech & Hardware
公開日2026.03.09
更新日2026.03.09

Hana TechnologyがInterBattery 2026で全固体電池(SSB)の全工程ターンキーソリューションを公開します。2035年に317億ドルへと急成長する市場において、製造ハードルが劇的に下がることを意味します。ディープテック起業家は、ニッチな素材開発やAI製造へのピボットが求められます。

全固体電池市場の急成長と現状

世界の全固体電池(SSB)市場は、2025年の約11億〜16億ドルから、2035年には最大317億ドルへと年平均31.8%〜42.5%の驚異的な成長を遂げると予測されています。電気自動車(EV)の普及に伴い、高いエネルギー密度(2026年までに400〜500 Wh/kgの商用化目標)と安全性が求められる中、SSBは次世代のコア技術として注目されています。この急成長市場において、韓国のHana Technology(ハナ技術)が「InterBattery 2026」で全固体電池の全工程ターンキーソリューションとAI搭載スマート機器を発表することは、業界構造を根底から変える可能性を秘めています。

ターンキーソリューションがもたらす製造の民主化

起業家にとって、Hana Technologyのターンキーソリューションは「製造の民主化」を意味します。これまで、電池の製造ライン構築には莫大な資本と高度なノウハウが必要でした。しかし、AIを活用したターンキー(一括導入)ソリューションが普及すれば、新興のEVメーカーやバッテリースタートアップは、製造インフラの構築にかかる時間とコストを大幅に削減できます。これにより、競争の源泉は「いかに効率よくラインを作るか」から「いかに優れた素材やセル設計を生み出すか」へとシフトします。

巨人とスタートアップの競争環境

現在、SSB市場はSamsung SDI、LG Energy Solution、CATL、トヨタなどの巨大企業が牽引しており、アジア太平洋地域が世界シェアの約54%を占めています。一方で、スタートアップにも大きなチャンスがあります。例えば、Factorial EnergyはStellantisと共同で375 Wh/kgのセルを検証し、2億ドルの資金調達を実施しました。また、Solid PowerやSES AIなどの新興企業も、大手自動車メーカーからの出資を受けてプロトタイプの開発を加速させています。大手企業が量産化に向けたインフラ投資を進める中、スタートアップは特化した技術力でエコシステムに食い込むことが可能です。

起業家のためのアクションアイテム

ディープテックやハードウェア領域の起業家は、この市場の変化に対して以下のアクションを取るべきです。

1. ニッチな要素技術への特化: ターンキー設備が普及することで、全体プロセスのハードルは下がります。起業家は、電極コーティング技術や、初期市場で89%のシェアを占める薄膜技術、新しい固体電解質(硫化物や酸化物)の開発など、特定のボトルネックを解消するニッチな要素技術にリソースを集中させるべきです。

2. AI・ソフトウェアとの融合(SaaSの提供): Hana TechnologyがAIスマート機器を強調しているように、製造ラインの歩留まり向上や不良品検知を行うAIアルゴリズムの需要は急増します。ハードウェアそのものではなく、SSB製造ライン専用の予測保全AIやデータ分析SaaSを開発し、設備メーカーにライセンス供与するモデルが有効です。

3. 既存ラインのレトロフィット(改修)市場の開拓: 完全なSSB専用工場が普及するまでの間、既存のリチウムイオン電池製造ラインをSSB向けに改修(レトロフィット)する需要が高まります。この移行期を狙ったモジュール式の改修ソリューションを提供することで、初期の収益基盤を確立することができます。