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プラットフォーム・コマース

ソニーがゲームディスクを終わらせる:中古市場と「所有」も一緒に消える

公開日: 2026-07-02

デジタル流通中古市場コンソールゲームプラットフォーム依存ゲーム保存

何が起きたのか

ソニー・インタラクティブエンタテインメントが7月1日、公式ブログで2028年1月からPlayStation新作ゲームのディスク生産を終えると発表した。以降に出る新作はPS Storeと販売店でデジタル版のみになる。すでにディスクで出たタイトルと、2028年1月より前に発売される作品は従来どおり残る。理由は単純だ。買い手がすでにデジタルへ移ったからだという。実際、2026年3月に終わった四半期にPlayStationのフルゲーム販売の85%がデジタルで、物理ディスクは15%にとどまった。会計年度全体では78%がデジタルで、1年前の76%からさらに上がった。売上で見れば差はもっと開く。同じ四半期の物理ゲーム売上は約1億900万ドル、デジタルは約15億ドルだった。PS4が出た2013年にはデジタル比率は10%に満たなかった。1994年、初代PlayStationがCDを据置機の標準メディアに押し上げてから33年、その会社が自らディスクに幕を引く。

創業者にとっての意味

ディスクが消えるとは、三つの市場が同時に揺れるということだ。第一に中古。2028年以降の新作はそもそも物理メディアがないので、中古で売る「モノ」自体が存在しない。個人間で膨大な取引を回すメルカリやヤフオクのゲーム在庫は、新作の流入が止まって既存分が細っていくだけになる。GEOやブックオフの買取カウンターも同じだ。第二に小売。ディスクを棚に並べる理由が消えれば店頭のゲーム売場は縮み、その棚を支えていた流通マージンはそっくりプラットフォームへ移る。第三に所有。デジタルは「購入」ではなく「ライセンス」だ。ストアから消えたりサーバーが閉じたりすれば、金を払って買ったゲームが手元から消える。この三つの亀裂がそのまま空白になる。マージンがプラットフォームに集まるほど、30%手数料の外に代替ストアや直販チャネルを探すインディー開発者が増え、譲渡できないライセンスへの反発は、デジタルの再販・譲渡・保存を扱うサービスの需要を押し上げる。

今できること

「所有なき消費」が据置機の標準になる流れは、ゲームの外へ広がる。電子書籍・音源・ソフトのライセンスを売る事業なら、買い手が買ったものを譲渡・返金・保存できる権利をどう設計するかが差別化になる。デジタル商品を扱う創業者なら、今この二つを点検する価値がある。一つ、自社の商品はサービスが閉じてもユーザーが買ったものを使い続けられるか。二つ、プラットフォーム手数料の外でユーザーと直接取引するチャネルがあるか。据置機が先に越えたこの線を、残るデジタルコマースがすぐ後から越えていく。