AI・テクノロジー
同時刻に止まったGrokとClaudeは、同じ会社からコンピュートを借りている
公開日: 2026-09-05
要点
9月3日、GrokとClaudeがほぼ同時刻に停止した。スペースXはメンフィスのコンピュートセンターの障害を原因として挙げ、影響を受けたコンピュートパートナーにも謝罪している。Anthropicは今年、マスク側のAI企業からコンピュートを借りる契約を結んだ。
Mr. Latte の見方
ベンダーを二社に分けた時点で冗長化の費用は払っている。ただしその二本の請求書のさらに下で、金はGPUを置く同じ建物の賃料へ合流しうる。切り替えスイッチを押しても行き先がないなら、払ったのは冗長化の名目だけだ。誰が誰からコンピュートを借りているかは契約書に書かれないが、書かれないことと値段がつかないことは別で、負担しているのは請求書を受け取る側である。
太平洋時間の午前6時30分、GrokとClaudeが並んで止まった
9月3日の朝、先に応答を止めたのはGrokだった。スペースXのステータスページには太平洋時間の午前6時30分にモデル障害が掲示され、復旧まで3時間半かかった。X上のGrokもモバイルアプリも同時に使えなくなった。
ほぼ同じ時刻、Anthropicのステータスページにも複数モデルのエラー急増が掲示された。UTC13時26分に始まり16時23分に終了、3時間近い障害である。影響を受けたのはClaude Mythos 5.1、Fable 5.1、Opus 5、Opus 4.8、Opus 4.6だった。Anthropicはこの日すでにSonnet 5の障害を一度起こし、19分で収束させたあとだった。
ChatGPTは1時間ほど遅れて続いた。OpenAIはUTC14時58分にChatGPTとCodexのエラー増加をインシデントとして登録し、16時55分に解決を告知した。原因はルーティングエラーだと説明している。
3社が重なるとドミノが続いた。コーディングツールのCursorは、GrokとClaudeの障害で自社サービスも止まったと告知した。Geminiにも報告が集まったが、Googleは最後まで公式の障害を出さなかった。
Anthropicは今年、マスク側の会社からコンピュートを借りる契約を結んだ
その日の午後、スペースXの公式アカウントに謝罪文が出た。メンフィスのコンピュートセンターで障害が発生し、その余波でGrokが止まったという内容だ。そのあとに一文が添えられていた。影響を受けたコンピュートパートナーにも謝罪する、という文である。
パートナーが誰かは明かしていない。ただEngadgetは、Anthropicとマスク側のAI企業が今年契約を結び、Claudeを作る側がコンピュートを借りることになったと報じた。Claudeの障害が始まった時刻もGrokと同じ太平洋時間の午前6時30分ごろである。Anthropicは原因を公開しておらず、両社のどちらも二つの障害が同一の事象だとは確認していない。
確認されていないつながりを事実として書く必要はない。確認できた事実だけでも図は十分に鮮明だ。市場で正面から競合する二つのモデル企業が同じ計算資源でつながっていて、その建物の一つで障害が起きれば別の会社の顧客まで謝罪の対象になる。そのことを供給側が公に認めた。
Cloudflareも3大クラウドもその日は無事だった
サービスが三つ同時に揺れると、まず疑うのは共通経路である。Cloudflareは3社がそれぞれ異なる形で使っていることから真っ先に名指しされた。広報担当はThe Registerに、意味のあるサービス中断は起きていないと答えている。AWS、Google Cloud、Microsoft Azureのステータスページにも関連する障害はなかった。Azureに報告が集まると、マイクロソフトは自社の問題ではないと否定した。
つまり重なった地点はインターネットの手前ではなく、モデルを実際に動かすGPUが置かれた建物の側だった。冗長化を設計するとき普通に数える層は、リージョンとCDN、そしてモデルベンダーである。誰が誰にコンピュートを貸しているかはその一覧にない。ステータスページにも書かれず、契約書にも出てこない。
ステータスページの等級もそのままは信じられない。同じ日の同じ時間帯の障害について、AnthropicはMajor、OpenAIはMinorと記録した。基準は会社ごとに違う。ダッシュボードの色だけで自社の被害規模を推し量ると外れる。
日本の業務時間を貫いたのは翌日だった
この事象は日本時間で9月3日の夜10時26分に始まり、9月4日の午前1時55分に終わった。国内チームの多くは寝ている間に過ぎている。朝に記事で読んで他国の話として流しやすい時間帯だ。
実際に業務時間を貫いたのは翌日である。OpenAIのステータスページには、9月4日のUTC7時から10時46分までアジア太平洋地域限定のインシデントが別に掲示されている。ChatGPTとWork、画像生成、ファイルアップロード、音声、Codex Cloudでエラーが増える可能性があるという内容だ。日本時間では午後4時から午後7時46分まで、まるまる3時間46分である。
このインシデントは英語圏の記事にほとんど載らなかった。影響度がMinorと表示され、地域も限定されていたからだ。国内チームから見れば順序は逆になる。話題になった障害は夜に過ぎ、実際に業務を止めた障害は静かに過ぎた。
いま問うべきは、そのベンダーがコンピュートをどこから借りているかだ
モデルベンダーを二つ用意する構成はもう基本に近い。普段はAを使い、止まればBに流す。9月3日は、その構成がどこまで有効かを見せた。二つのベンダーが同じ賃借契約で結ばれていれば、切り替えスイッチを押しても行き先がない。
だから今確認すべきはベンダー名ではなく、その下の一層だ。自分たちが使うモデル企業がGPUを所有しているのか借りているのか、借りているならどこから借りているのか。公開された契約でなければ分からない場合が多いので、エンタープライズ契約を新しく結ぶときの質問リストに入れておくほうがいい。フォールバックを選ぶときも、賃借の連鎖が異なる先を一つ混ぜる。
そして3時間の障害が起きたとき自社の画面に何を出すかも決めておくことだ。Cursorは9月3日、二つのモデルが一緒に止まったせいで自社の告知を出す羽目になった。ユーザーはどのモデルが止まったか知らない。画面に出ている名前は自分たちの製品名である。
参考資料
- ChatGPT, Claude, and Grok all had outages at the same time The Register
- SpaceXAI apologizes for outage that affected Grok and other 'compute partners' Engadget
- Elevated errors across ChatGPT and Codex OpenAI Status
- Elevated errors for multiple models Claude Status
- It's not just you; ChatGPT, Claude, and Grok were all down in confirmed outages 9to5Google
- 챗GPT·클로드·그록이 같은 날 잇달아 멈췄다 Platum