本文へスキップ
StartupXO スタートアップのアイデア · ニュース · 人材

投資・M&A

Ouraが上場で得る5億ドル超は、ほぼ全額が社員RSUの税金に回る

公開日: 2026-09-22

OuraIPORSU源泉徴収株式報酬

要点

Ouraは9月21日の修正届出書で5,000万株を1株40〜44ドルで売り出すと示した。自社分1,350万株の手取り約5億3,260万ドルのうち5億2,640万ドルは、上場と同時に確定する社員RSUの源泉徴収税に充てる。

Mr. Latte の見方

Ouraが公募で新たに得る資金は入った分だけ社員の税金として出ていき、残るのは約620万ドルだ。公募価格が1ドル上がれば手取りと税額がほぼ同じ幅で増えるので、価格が高く決まっても会社の取り分はほとんど動かない。新株の発行で手に入れたのは成長資金ではなく、数年分のRSUを一日で精算するための現金である。上場を権利確定の条件にしたRSUを出しているなら、その日の源泉徴収額と資金の出どころは、公募価格より先に決めておく数字になる。

新たに売る株数は、税金のために差し引く株数とほぼ同じ

Ouraが9月21日に米国証券取引委員会へ提出した修正版の登録届出書(S-1/A)に、初めて公募条件が載った。会社と既存株主が合わせて5,000万株を売り出し、価格帯は1株40〜44ドルだ。このうち3,650万株は既存株主の売り出し分で、会社が新たに発行するのは1,350万株である。既存株主分の売却代金は会社に入らない。ロイターによると、主幹事はゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンで、ティッカーOURAでナスダックに上場する。

会社分の使い道は届出書の資金使途の欄にある。価格帯の中央値42ドルを前提にすると、会社の手取りは約5億3,260万ドルだ。そのうち約5億2,640万ドルをRSUの純額決済に伴う源泉徴収税の納付に充て、残りを一般的な事業資金とする。TechCrunchはこの計算で会社に残るのは約620万ドルだと伝えた。

税額は株数でも確認できる。上場と同時に権利が確定するRSUのうち、1,215万103株は会社が納税のために差し引き、社員には1,333万8,451株だけを純額で交付する。源泉徴収率は加重平均で47.7%と仮定している。会社が公募で新たに売る1,350万株は、社員分から差し引く株数とほぼ釣り合う。社員が一人ひとり納税資金を用意する代わりに、会社がその分の株を差し引き、新株を公募で売って得た現金で税金を肩代わりする仕組みだ。

4年分の勤続が、届出の効力発生日に一度に確定する

税金が一日に集中するのは、RSUに付けた条件のためだ。届出書によると、上場前に付与したRSUの大半は、勤続条件と業績条件の両方を満たして初めて権利が確定する。勤続条件は通常4年かけて満たされる。さらにすべてのRSUに業績条件が付いており、これは登録届出書の効力が生じる日に満たされる。すでに勤続期間を終えたRSUは、その日にまとめて確定する。会社は公募価格をもとに法定の源泉徴収率で株を差し引き、所得税を納める。

届出書はこの納税の資金手当てが財務状態を悪化させ、株主の持分をさらに希薄化させうるとリスク要因に記した。金額は公募価格とともに動く。公募価格が1ドル上がると会社の手取りは約1,270万ドル増え、代わりに納める税金も約1,250万ドル増える。価格帯の上限で決まっても、会社の手元に残る額はほぼ変わらない。

会社が新たな資金を急いで必要としているわけではないことも、届出書から読み取れる。6月末までの9か月間の売上高は12億1,450万ドルで前年同期比74%増え、同じ期間の純利益は6,080万ドルだった。会社は利益を出せるようになり、成長資金を外部からの株式調達に頼る度合いが下がったと書いている。売上の80%はリング本体の販売だ。残り20%の会員サービスの売上は9か月で2億4,050万ドルと121%伸び、会員サービスの売上総利益率は89%に達する。米国の料金は月5.99ドルか年69.99ドルである。

シリーズBを主導した投資家は二度に分けて出ていく

既存株主が売る3,650万株の大半は一社から出てくる。2020会計年度のシリーズBを主導したForerunner Venturesが、保有する2,867万9,908株、持分9.3%を今回すべて売る。TechCrunchによれば、これは既存株主の売り出し分の8割近くにあたり、中央値の42ドルで約12億ドルになる。一方、持分10.9%のFMR系と9.2%のBedford Ridgeは1株も売らない。FMR系は2025年9月にシリーズEを引き受けた株主である。

Forerunnerが持分を手放すのは今回が初めてではない。Ouraは2026年2月、Forerunner系からシリーズB優先株161万7,721株を6,500万ドルで買い戻した。同じ9か月間に、会社はリボルビング与信枠から3億7,500万ドルを借り入れ、主に普通株と優先株の買い戻しに使ったとしている。6月末の現金は3億7,180万ドル、借入金総額は3億8,010万ドルだった。8月13日には2,500万ドルを返済し、与信枠の残高を3億5,000万ドルに減らした。

新たに入ってくる側も届出書に名前がある。Eli Lillyは公募で最大1億ドル分、Dragoneer系のファンドは最大3億ドル分を購入する意向を示した。Eli Lillyは7月にOuraと5,000万ドルのSAFEを結んでおり、このSAFEは上場直前に42ドル換算で119万476株の普通株に転換される。シリーズBの主導投資家が抜ける席を、今年SAFEで入った製薬会社と、公募での購入意向を示したファンドが埋める形だ。

韓国の成果条件付株式も、権利が確定した日に課税される

韓国のベンチャー企業法が定める成果条件付株式も、課税のタイミングは同じところにある。韓国中小ベンチャー企業部のベンチャー確認システムの案内によれば、成果条件付株式を受け取った役職員は、勤続や成果の条件を満たして権利が確定した時点で株式の時価相当の利益を得て、その利益は勤労所得になる。違うのは株式の出どころだ。この制度では、会社が保有する自己株式を無償で渡す。新株を発行するストックオプションと違って既存株主の持分は希薄化しないが、会社は株式を渡す前に自己株式の取得に現金を使う。

Ouraの事例で見るべきなのは、権利確定日を何に結びつけたかだ。OuraはすべてのRSUに上場という業績条件を付け、数年分の勤続に対する税金が一日に集まった。会社はその資金を主に公募の手取りで賄うとしている。上場や売却を権利確定の条件にした報酬契約を使っている会社なら、その日に発生する税額と資金の出どころは、公募価格より先に出てくる数字になる。

公募価格はロードショーを経て決まる。届出書は、実際の公募価格と源泉徴収率によって差し引く株数が変わりうると記している。価格が決まる日に、1,215万株という数字も計算し直される。